家を出て少し経つと、


「……ねえ」


結衣が立ち止まった。


「もう、バレちゃってるんだよ?」


なぜか、すねた口調。


「え?」

「もう、修ちゃんて、ほんとにドンカンなんだから」


甘えるようにオレをにらむと、そっと手をつないできた。


「明日からは、家の前まで送ってね」




愛らしい、笑顔。



頼むから、オレ以外の男には見せないでほしい。





思っても口に出せず、代わりに結衣の手をぎゅっと握り返した。