この景色の向こうに日吉が見たものは、
とても大切で綺麗な思い出。
鮮烈で鮮やかな色を持ったまま彼女の心の真ん中に今でも居座るかけがえのない時間。
『初恋のキミ』はそんなすごいものを日吉に与えたんだ。
俺は、そこまでのものを日吉にあげられているかな?
これからあげられるかな?
無理だ。
一緒に過ごした高校の教室。
一番たくさん会話した生徒会室。
俺だって日吉の思い出の中にはいるだろうけど、
その色の鮮やかさは『初恋のキミ』と比べるまでもない。
……俺には、日吉にあんな綺麗な涙を流させる自信ねーよ。
だったら。
今の俺に出来ることはーーー。
「走ろう! 走ろうよ、日吉!!」

