「そりゃそうよね。
今度ここに戻ってくることがあってもスーツ姿とか?
靴だってローファーじゃなくてヒール履いてるよ。
まだ想像つかないけど」
「本当だね」
制服なんてあまり好きじゃなかった。
個性を奪われるし、窮屈な感じがして。
だけど、今日を最後にもう着ることがないんだと思うととても寂しかった。
「東京に行っても連絡取り合ってよ?
私、雪のこと頼りにしてるんだからね?」
「はいはい。
大学のことでも、初恋のシンタくんのことでも?
聞いて欲しいときはいつでもとことん付き合ってあげるわよ」
「雪…。
大好き通り越して、愛してる」
「はは。それ、千波からじゃなくて男子から聞きたかった。
まあ、私もよ」
校門までたどり着いて立ち止まる。