ーーー10年前



「あのね、かぁくん。あたしね、将来おうたを歌う人になりたいの。
でね、かぁくんはぴあの得意でしょ?」


「うん!ぼく、ぴあのだいすき!!」


かぁくんの目、きらきら輝いてる。


「だからね、あたしが歌うおうたを、かぁくんにつくってもらいたいの。」


「いーよ!!ぼくがりかちゃんのおうた、つくってあげる!!」



そう言いながら、かぁくんはピアノに向かった。
するとすぐに、聞いたこともない曲を弾きながら、歌い始めた。

ピアノはすごく上手い。でも、残念なことに音痴だった。



この曲が、かぁくんがあたしにつくってくれた最初の曲。



~♪



あたしもかぁくんと一緒に歌い始める。



「どうかな?」



「すごいね!かぁくん!!おうたは上手じゃないけど、ぴあのは上手!
これからも、あたしだけにおうたつくって!!」


「うん!いーよ。約束ね。
だからりかちゃんは、ぜったいおうたを歌う人になってね!」


「ぜったいなる!!じゃあ、ゆびきりげんまんしよ!」


『ゆーびきーりげんまん うそついたらはりせんぼんのーます!!』


これが、幼い頃に“かぁくん"と交わした、最初の約束だった … 。