祈璃は究極の我儘らしい。
しかもそれを隠そうとしない。

計算とか、ないのか。

「でもそのおかげでアキと会えて、これ貸して貰えたし! ……ちょっとこれどうなってんの?」

ゲーム機を押し付けてくる。俺はそれを持って、可笑しいような呆れなくてはいけないような感じが変で、少し笑ってしまった。

それから、祈璃は女子の中で一人になった。

なんでも祐一を寝取っただとかの噂が流れ、それは学年を回っていた。

多分、"頼子"と喧嘩した末、学校でも俺と話しているのを見られた所為だと思った。少しも繕うことのないその態度は逆に清々しく、危険だ。