買い物から帰ってきたジャンさんに帰ることを告げると、夕飯に捕まった。

「彼女も帰ってくるの遅いしイノリも眠ってるし一人で食事するのなんて寂しいよ……」

子犬のような表情。男にされても寒気がするだけだけれど、言われた通り夕飯を食べさせてもらった。

「ボクの仕事? 料理屋だよ、ちょっと高めだから大人になったらイノリと一緒に食べにきてよ」

「あ、はい」

「イノリ以外の高校生とこんなに日本語で喋ったの初めてだ」

「……祈璃とは何語で喋ってるんですか?」

「英語だよ」

祈璃の英語の試験の点数がいつもすごく高い理由が、今やっとわかった。

テレビの横にあるハムスターの入っていないゲージ。
きっと、これから祈璃のことを知っていく。


end.
20151005