藤沢さんは自分を偽っている。ただ嘘を吐いているわけじゃなくて、自分を殺して行動を起こそうとする。

それは、見栄や傷付けたいという思いからじゃない。

「……私とは反対の場所にいる祈璃ちゃんには、嫌われるだろうなって思ってた」

「場所って」

「でも、私は、私の嘘を好きになってくれない人とは一緒に居られないから」

藤沢さんは諦めた顔をしていた。自分の限界を知っていて、どうしてあたしにその手の内を明かしたのだろうと考える。

「祈璃ちゃんになら、嫌われても良いって思ったんだよ」

それは、喜ぶべきだろうか。




end.
20150817