「知鶴…?…る?」

「……」

「知鶴!?聞いてる?!」

「えっ?」


すると突然、大きな声で名前を呼ばれ、わたしはハッと我にかえる。

ビックリして顔をあげると

目の前では友人のマキちゃんがおもむろに眉をしかめた顔でわたしを見ていた。


「さっきから何度も呼んでるのに知鶴ってばボーッとして!どうかした?寝不足?」

「そ、そうなのかな…?一応ちゃんと寝てるつもり、だけど…」

「美容に寝不足は大敵だよー!いい?最低でも8時間は寝なきゃだめ!わかった?」

「う、うん。わかった…」


わたしの返事に、マキちゃんはちょっと自慢気に一人あいづちを打っていた。


…気がつくと、今はお昼休みの時間でわたしはマキちゃんと机と机をくっつけて

これからお弁当を食べようとしているところだった。


だけどずっと考え事をしていたせいか、肝心のお弁当箱は出さないままで。

ようやくお弁当入れの紐を解いて、箱を開けてみたそのとき。

マキちゃんがわたしのお弁当の中身を目にするなり、ビックリした声をあげた。


「ってか今日の知鶴のお弁当少なっ!なに?もしかしてダイエット?」

「え?あ、え、えっと、うん…まぁ」


何だか気恥ずかしくて、ぎこちなく頷き返したわたしに、マキちゃんは怪しく眉を動かした。