梅雨のせいなのか、それともわたしの考えすぎなのか

今朝の天気はいつにも増してどんよりと曇っていて。

青一つない灰色く濁った空を前に、憂鬱な気分になると同時に、胸騒ぎがした。


こんな日は、なんだかとてもイヤな予感がする。



「知鶴~おはよぉ」


その日の翌朝。なかなか教室に入る勇気がなくて、廊下で一人ボンヤリしていたら

マキちゃんが大きなあくびをしながらやって来た。


そのまま何気なくポンと置かれた手に、わたしは一瞬動揺したあと

慌てて後ろを振り返る。


「マキちゃん。お、おはよ…」

「はぁもう早く梅雨終わんないかなぁ。じめじめして気持ち悪い!って…どしたの知鶴?教室、入んないの?」

「えっ?あ…」


それでも足は今も教室の前で止まったまま、相変わらず廊下で立ち往生を続けるわたしに、マキちゃんがキョトンと首を傾げる。


そんなマキちゃんに、わたしは何て答えればいいのか分からなくて…


「えっとこれは、その…」

「おはよ。桐谷さん」


そのまま返事に困っていたら、ふと後ろから声がした。


そのゴツゴツした手がわたしの肩を掴んだ瞬間、思わず心臓がドクンと音を立てる。


震える体を必死に抑えながら、恐る恐る振り後ろを振りかえると、そこに居たのは…