「いってきますっ」


学校までの道のりは自分でもビックリするくらい、足取りが軽く感じた。


幸い、今日は空がカラッと晴れ渡っていて、外のプールで泳ぐには最適のお天気。


ついつい表情もひとりでに緩んでしまう。


…嬉しい。久しぶりにプールに入れる。やっと水泳の練習ができる。


今朝は久しぶりに朝ごはんをしっかり食べられたし、この前の食欲がウソみたいで。


そういえば最近はほとんど食事がノドを通らず

ひどい時は一日一食とかで、不規則な生活をしていたから


予定より早く生理が来てしまったのも、きっとそれが原因だったのかも。


「桐谷」


そんな事を考えながら校舎の玄関で上履きに履き替えていたら、突然後ろから声をかけられた。


聞き覚えのあるその低くて掠れた声にドキッとしたのもつかの間

とっさに後ろを振り返ると、そこに立っていたのはやっぱりあの人で…。

わたしは思わず大きな声をあげてしまった。


「せ、瀬戸くん…!」