「最近、目撃されておるんよ」

「何を?」

「三神家の連中を」

「何で三神家が?」

「…これは噂だから、本当かどーかはわからねェけどな」

「うん」

「三神家は、わしら海鳴村が一丸となって、遠矢を隠していたんじゃないか言うんだ」

「は?
遠矢くんのことを隠していた?
それは違うよ!
だってあたしたち、誰1人遠矢くんが三神王政だとは知らなかったんだよ?
遠矢くんだって話そうとしなかったし……」

「わしらもちゃんとそれは言った。
だが三神家は信じようとしない。
…三神王政を隠した罰として、海鳴村の村人を皆殺しにするんじゃないかって噂が出ているんだ」

「そ、そんなことっ…」




いくら三神家が悪い人でも、それはしないよっ…。

だって、三神家を取り締まる1番偉いのは、遠矢くんなんだもん。

遠矢くんだって知っていたはず。

海鳴村の人たちがいかに優しいか…。





「小町。…わしの予想なんじゃがね」

「うん」

「…遠矢は、三神家を取り締まっていない気がするんだ」

「どういうこと?
でも、遠矢くんが三神王政なんでしょ?
1番偉い人じゃないの?」

「確かにそうじゃが…。
遠矢が三神王政…ソレは形だけな気がするんじゃ。
本当に三神家を取り締まっているのは…アノ三神王司とやらじゃ」



王司さんが?