それを知らなかった僕は、三神家5人兄弟のうち4人に嫌われた。

素行の悪い4人で、剣の技術も悪かったため、三神王政候補ではなかったが、突然現れた僕を嫌ったのだ。



けれど。

五男である王司だけは優しかった。

僕は「お兄ちゃん」と呼び、王司を慕った。

王司も「遠矢」と優しく呼び、優しくしてくれた。

剣の技術も頭も素行も良かった王司は、有力な三神王政候補だった。



三神統頭―――父上に僕の剣の先生を務めろと言われた王司は、僕に基礎から剣の技術を教えてくれた。

元々は僕のお父様が教えていた武術の数々。

お父様の好きだったものが知りたくて、僕は必死に稽古に励んだ。





「勝利は、三神遠矢!」

「……ッ!?」

「ヤッタァ!
お兄ちゃんに勝てたよ僕!
父上、僕のこと見てました?」

「ああ、見ていたぞ遠矢。
王司に勝てるなど、素晴らしいことだ」




当時兄上は武術に関しては天才と呼ばれているほど、向かう所敵なしだった。

それを、5こも年下の僕に負けた。

…兄上にとっては、この上ない屈辱だっただろう。




僕は、兄上以上の天才剣士として名を高めた。

でも、三神王政になりたいからじゃない。

ただ、父親の好きだった剣を、知りたいだけだ。





あとは、





復讐のため。