夜なのに綺麗に咲く桜は、とても綺麗だった。

ライトアップされているみたい。





「あれ?小町さん…」

「あれ?じゃないよ。
ふと起きて隣を見たら、いないんだもん。
…どうしたの?」

「…ちょっと、眠れなくて」



あたしは遠矢くんの隣に座った。

4月で良かった。

冬なら、凍え死んでしまう。




「………小町さん」

「何?」

「……自分の名前、好きですか?」

「自分の名前?」




突然何を言い出すんだと驚きながらも、あたしは答えた。




「好きじゃない。
だって、名前に似合った容姿じゃないもん」



チビの身長に、太めのバディ。

野桜小町なんて綺麗な名前、勿体ない。




「良い名前だと思いますよ」

「名前だけね。
名前だけは、あたしも気に入っているんだ。
でも、名前負けしちゃっているからな…」