桜吹雪~運命~








「ねぇ。
遠矢くんにこんなこと聞くのも変なんだけど」

「何ですか?」

「何で三神家は人を殺すの?」

「……」

「いくら三神家で1番強い家だからって、殺人はいけないよ。
何で罪なき人を、簡単に殺せちゃうの?」

「………」

「…ごめん、遠矢くんに聞いても無駄だよね」

「…僕の考えなんですけど」

「うん」




少しの間の後、遠矢くんは話し出す。





「昔からの…決まりなんだと…思います」

「昔からの決まり?」

「はい。
三神家は100代も続く名家です。
しかし代々、当主になる人物は性格が荒く、人の哀しみ・涙を見ることが好きなんです。
その楽しみのために…三神王政は人を殺すんです」

「自分の欲望のためだけにってこと?」

「ええ…。
三神王政は、三神家を継ぐ者として、幼い頃から厳しい教育を受けながらも、甘やかされて育ちます。
そのため、我慢や、失うことの哀しみを知らずに育ってしまうんです。

自分の思い通りにならない奴は片っ端から殺す。
それが…当たり前なんです……」




「そうなんだ…」

「三神家は力を持った名家。
誰も、逆らうことは出来ません。
逆らい、待っているものは…死です」

「遠矢くんのその怪我も?」



遠矢くんは目線を、怪我の位置に合わせた。