「その海鳴さんが言っていたんだけどね。
最近、三神王政がいなくなったらしいんだ」




三神王政が?

会ったことないけど、罪なき人を簡単に殺せるんだ。

極悪人に決まっている。





「いなくなった三神王政は100代目らしい」

「100代目?」




この間ばぁちゃん、99代目とか言っていたのに?

もう代替わりしたの?




「おや、小町ちゃん知らないのかい。
99代目三神王政は、1か月前ぐらいに亡くなったよ」

「亡くなったんですか」

「ああ。
それで、息子を100代目にしたとか」

「その息子さんが行方不明なんですか」

「そうなるね。
多分来ないと思うけど、小町ちゃんたちも気を付けて。
小町ちゃんは三神村に行ったことないからって、梅子言っていたけど、念のため気を付けなさい。

あの男の子も。
三神村に殺されそうになった身らしいしね。
あの怪我じゃ、遠くまで逃げることも難しいじゃろうから」





三神村から海鳴村まで遠いとは皆口を揃えて言うけど。

来ないと言う絶対の保障はない。




来ないでほしい。

この平和な村を、壊さないでほしい。