「…着いた」
あれこれ話しているうちに、あたしは目的の場所に着いた。
4月1日。
あたしは必ず、ココにくる。
【遥華(はるか)市桜広場】
ここには、市で1番大きな桜の木がある。
その上高台にあるから、まるで市民を見守っているような感じだ。
今年も、綺麗な桜を咲かせている。
淡いピンク色の、桜。
名字に桜が入っているからか、あたしは桜が好き。
同時に、漢字で秋桜と書くコスモスも。
大きくて太くて立派な、茶色い枝。
桜の木の下に立つだけで、異世界にタイムスリップしたかのような感覚になれるから、不思議だ。
この桜の下。
あたしにとっては、凄く大事な場所だ。
時は遡り、10年前。
あたしが小学1年生、6歳の頃。
あたしはここで、
恋をしたんだ。


