何故、大和撫子とかけ離れたあたしが、こんな名前なのか。


名前は勿論親が付ける。

あたしの場合もそうだ。

自分でつけられたら、どんなに楽だろうな。



あたしの名前は、お父さんが付けた。

お父さんの名前は、野桜大二郎(だいじろう)。

ゴツゴツした、良い名前でしょ。

ちなみに野桜姓は、お母さんの姓。

お母さんの名前は、野桜椿(つばき)。

名前の通り、美人なお母さんなんだ。

あたしには姉が1人いる。

野桜華恵(はなえ)。

本人は名前を昭和っぽいって嫌っているけど、名前負けしていない、美人な自慢のお姉ちゃんだ。

お姉ちゃんは黒髪美人のお母さんに似て、黒髪美人。

対してあたしは、茶髪のお父さんに似てしまった。

だから、あたしは大和撫子からかけ離れているんだ。



お父さんも、あたしが茶髪だとわかった時点で、地味な名前にしてほしかったよね。

花子とか…。

ん?でも花って感じじゃないや。

まぁともかく、地味で目立たない名前にしてほしかったよね。

よりによって小町だなんて。

あたしよりお姉ちゃんに似合う名前だよォ。



何故お父さんはあたしに小町と名付けたか。

お父さんは、お祖父ちゃん、つまりお父さんのお父さんに、とある昔話を聞かされたからなんだって。