男の子は「え?」とあたしを見る。





「何で僕の名前…」

「え?」

「僕、あなたと会ったこと、ありますか?」





どういうこと…?

目の前にいるのは、間違いなく遠矢くんだ。





あたしは男の子が支えてくれた体を起こす。





「あっ…」





視界に広がるのは、見慣れた桜広場の光景。

あたしをジロジロ見て行く人々の服装は着物じゃない。

下を見ると、あたしも着物を着ていない。

あたしがタイムスリップした日…4月1日に着ていた服だ。





「…大丈夫ですか?」

「あの、今っていつですか?」

「今ですか?…4月1日ですけど」




…どういうこと?

日にちが、進んでいない?

時間も聞いてみるが、時間も過ぎていない。

あたしがタイムスリップしたであろう時間と同じじゃないかと言っても、過言ではないだろう。