「小町。
わしらは、小町が4月1日に必ず通うあの桜の木に宿る神じゃ」





あの桜広場の?

あの桜に神が…?





「毎年4月1日、小町ちゃんは欠かさずあの木の下に通う。
その目的はわかっておる」




紅葉さんがニヤニヤ笑う。

…全て見透かされている。

あたしが、初恋の人を探しに通うことを。





「わしらは小町を、見てた。
何故毎年欠かさず、そんな理由のために通うのか。
親友を亡くしているにも関わらず。
…小町は前向きな笑顔で、桜へ通っておった」




確かに。

ルカを亡くした年も、あたしは通った。

あの桜は、変わらず立ち続けているから。

その姿に、あたしは憧れを抱いていたから。

雨風は勿論、嵐にも負けないその強さを。

あたしも見習いたいと思った。





「だから、叶えてやろうと思ったんじゃ」

「小町ちゃんの願いをね…」








再び、

遠矢くんからもらったネックレスが、

輝き始めた―――。