「梅子さん…さすがです。
何年もお手合わせしていませんが、腕は落ちていませんね」
「ふっ…。
わしに勝てるか?上ノ宮王司よ」
「やめてくださいよ。
その名前は偽名ですから」
「だが、お前が上ノ宮王司であることに違いはない」
「…確かに、そうですね」
2人の刀が離れ、カンカン音を響かせながら、2人は戦う。
素早い2人の動きに、目で追うのが大変だ。
「小町ちゃん!」
「はい!?」
ボーッと見ていたあたしの後ろに、紅葉さんが立っている。
紅葉さんは、あの腰に刀を忍ばせた男の刀の行き場をなくしていた。
「そいつらはわしがやっておく!
小町ちゃんは、早く中へ!!」
「え!?
紅葉さん1人で大丈夫なんですか!?」
「わしだって梅子と同じ師範じゃったんよ!
これぐらい、朝飯前じゃ!!」
師範!?
何だか信じられない。
ばぁちゃんも紅葉さんも、ただのお婆ちゃんじゃないんだ。
「ありがとう!
ばぁちゃん、紅葉さん!!」
あたしはガードのいない三神家へ、軽々と侵入した。