砂の鎖

「……ごちそうさま」

邪魔をしないように小さな声で拓真に告げれば拓真はチラリとこちらを見て頷いた。
電話は中々切らせてはもらえないようだ。

私は自分の食器と拓真の空いている食器を重ねて下げる。
それから、弁当を作ろうと冷蔵庫を開けた。

弁当は、朝時間があればどちらともなく作る。
特に担当は決まっていないし、朝は時間が無くて作らないことも多い。
私は購買があるし、拓真も外回りが多いみたいだから敢えて義務にはしていない。

拓真に起こされた日は作る事が多い気がする。

今日は間に合いそうだから何か作ろうか。
昨日の残りと、卵焼きくらいならすぐできそうだ。
ホウレンソウがあるからバターでいためて、冷凍食品何か買ってなかったかな……

考えながら昨日の残りを出してから、まだ電話中の拓真を見た。

拓真は弁当いるのだろうか。
でも先週せっかく自分で作ったのに時間が無くて食べられなかった日があって夕食時にぼやいていたな。
何か言われたら作ろう。

そう思ってフライパンにバターを落とせばジュワリと音ともに立ち込める匂いが、朝食を食べたばかり私の胃を刺激する。

それから、いつも使ってる弁当箱が見当たらないことに気が付いた。

ああ。まだ食洗器の中か……

拓真め。昨日さぼったな。
後で文句を言っておかなきゃ。

諦めて私は目についたタッパーに作ったものを詰めることにした。