砂の鎖

「あいつ、ママのこと……」

「……」


そして、私の闇を暴き出す。
乱暴に、強引に。

夜の闇と光は昼間よりもずっと人の弱さを引きずり出す。


だからいつも夜は、恐ろしい……


「男食い物にしてたって……」

「……」


夜はいつだって、ママの時間だった。
彼女が女王として君臨する時間で、誇らしげに妖艶に微笑む時間だ。


いつもの様に、怠惰な煙草とお酒の匂いをさせながら。


「淫乱で……最低だって……」

「そうか……」


そして彼女は美しいドレスを身に纏い、いつだって女優の様に、少女の様に微笑んでいた。


「あんな奴に、何が分かるっていうの!?」

「……」


子供の様に笑って力いっぱい無遠慮に抱きしめる彼女。

着飾ったドレスに施された美しいビーズやジルコニアは肌に当たると痛く、この衣装は抱きしめる為では無く抱きしめられる為に作られているんだということを、幼心に理解してはいた。


抱きしめられる為の衣装を身に纏い、真っ赤な口紅を引き、怠惰でだらしなく、まともな職に就かなかった彼女。