砂の鎖

「……なんで勝手に謝ってんのよ!」

「……あず」


今の拓真になら、先ほどの様に言いなりにもならず言い返せた。

立ち止まった私に気が付いた拓真は、私より三歩先で立ち止まり私を見る。
その眉は少し垂れさがっていて情けない。

頼りない、いつもの拓真だ。


「なんで理由も聞かずに謝ってんのよ!?」


さっきの拓真は何だったのだろう。

バカバカしいとは思っても、いつもの拓真に戻っても、私の拓真に対する不信感は消えなかった。

より大きくなった。


何も聞かずに頭を下げた拓真。

私が悪いと決めつけた拓真。


『家庭環境が悪いから』

『親があんなだから』

『可哀想な子』


拓真の態度はまるで、私の周りにいつも取り巻いていた悪意ある噂話を流したり、無関心な同情を向けたりする人たちと同じに思えた。

私は拓真にそんな態度を取られたことが恐ろしくショックだった。
拓真は、私はともかく、ママには好意を持っていた筈なのに……