砂の鎖

残された教室で、担任の田中が徐に溜息を吐き、拓真はそれにご迷惑おかけしますと更に謝罪を告げた。

それから明日は普通の生徒よりも早くに登校し、教室では無くここに来るようにと言われ、謹慎中の注意点をいくつか伝えられた。
その中で謹慎中は携帯電話を保護者が預かるように言われ、私はかなり躊躇したが、拓真の威圧的な視線に負けて仕方なく携帯電話を手渡した。


「須藤」


拓真が来てからは殆どの受け答えを拓真がしていた。
そもそも私は沈黙を貫き殆ど言葉を発してはいなかったのだ。

だから佐伯の呼びかけが私に向けられた物だと気が付くまでに少し時間がかかった。

顔をあげた私を、佐伯はいつもの怒っているのか興味が無いのか分からない瞳で見つめている。


「世の中はな、高校の数学の様に割り切れるものばかりじゃないぞ」


そしていつもの嗄れ声でそう言った。


「よく考えなさい」