砂の鎖

「……本当よ。謝ったから済むなんて思わないでください」

「二人がこれ以上何も言わないのなら、須藤はとりあえず謹慎とし、追って処分があればお伝えしますが……須藤さんよろしいですね?」

「はい。責任もって監督いたします。」

「当然でしょう?」


拓真は自分が悪いわけでも無いのに何度も頭を下げる。
横井の母親は勝ち誇ったように笑っていた。

私と横井はとりあえず保護者と共に帰宅するよう言われた。


「横井さん」


帰ろうとした横井に拓真はまだ謝る気なのだろうか。
横井の母親を呼び止めた。


「な、何かしら……」

「改めて本人にもよく反省させて謝罪に伺います」

「ええ……」


拓真は更に頭を下げる。もう、いい加減にしてほしい……
けれど拓真が来てから、余りにも整然と謝罪を告げる彼に、横井の母親は若干気圧されている様にも見えた。


頭を下げていた拓真は改めて横井の母親をじっと見る。

そんな二人を見ていて何だか不釣り合いだ、と思った。


けばけばしく着飾った小太りの中年女性と、20代の青年にしか見えない拓真の対峙は違和感がある。
同じ年頃の娘を抱える親同士には、とてもではないが見えない。
何の共通項も見当たらなかった。


「その時は、娘さんのお話もぜひお聞かせください」

「どういう意味よ!」


再び金切声をあげた横井の母親に、拓真はただ頭を下げただけだった。


「是非娘さんのお話を、しっかりと聞いてあげてください」

「余計なお世話よ! リカちゃん、帰るわよ!」


横井の母親はそのまま横井の手を引き大きな足音を立てて出ていった。