砂の鎖

「亜澄。謝りなさい」


拓真は私を見て、静かにそう言う。
私は何も答えず、拓真から目を逸らした。

私は一体、何に裏切られた気分になっているのだろう。


「亜澄!」


拓真が声を荒げれば、それは思いのほか迫力があり横井の母親ですら言葉を放つことはしなかった。


「理由なんてどうでもいい。暴力は最低な行為だ。謝りなさい」


私は拓真が、横井の母親の様に無条件で私を庇ってくれるとでも思っていたのだろうか。
私を信じてくれると思っていたのだろうか。

そうだとしたら、なんてバカバカしい期待していたのだろう。


その場にいる人たちの視線が、私一点に注がれているのが分かる。

横井自身は嬉しそうな顔をしているかもしれない。
そう思えば、私は横井の顔を見ることもできなかった。


「……すみません、でした……」


悔しい。
頭を下げて、それから唇を噛みしめた。