砂の鎖

拓真は、変な男だ。
この人とこうして二人きりで食事をすることに私は中々慣れられずにいる。

それでも、食事の腕前がいいことだけは認めよう。
拓真と暮らし始めてから体重が5kgも増えたんだから……

毎日同じものを食べている拓真は割と細身なのに……嫌な奴。


「あず。昨日小出さんにジャガイモ大量にもらったのがあるから、今夜は肉じゃがにしてよ」

「朝ご飯食べながら夕飯の話?」


唐突な拓真の提案に私は思わず笑ってしまった。


「だって献立決めるのがめんどくさいってあずよく言うじゃないか」

「まあね。今日水曜日だし、帰りにひき肉買って帰るか」

「ありがとう。重い物は俺が週末車で買い物行ってくるから」

「んー。洗剤はまだあるけど柔軟剤安くなってたら買っておいて。あとなんかあったかな……」


拓真とたわいない話をしながら朝食を摂る。

テレビは朝の情報番組だ。絶対に採用担当者が好みだったに違いないと思わせる、舌足らずの可愛いアナウンサーがお天気お姉さんをしている番組だ。
朝からやたらとテンションの高い彼女の言う事をそれでも私は真剣に聞いていた。
買い物をして帰るのに、帰りが雨だと嫌だからだ。


……朝食の担当は拓真。夕飯は私。
掃除と食器の片付けと大きな買い物は拓真。
風呂掃除と洗濯と日常の細々とした買い物は私。

二人の役割分担は話し合ったわけでも無いのにいつの間にか決まっていた。
拓真と暮らし始めてから四年。
この生活を始めてからはいつのまにか三年も経っていた。

拓真と暮らし始めるまで、面倒でこんなにきちんと朝食は食べていなかったな、とふと思い出した。

今日は変な夢を見た所為か……やたらと懐古的な気がする。