「こないだ佐伯先生にね」
私は、麻紀に小さな声でまだ誰にも話していないことをそっと話をしてみる。
先日、担任では無い数学の老教師に突然言われたこと。
『須藤。進学の仕方も一通りでは無いぞ』
数学の課題の解説を仰いだ私に、佐伯はそう言った。
「……大学に行けみたいなこと言われたんだ」
「佐伯ってそんな教師らしいことも言うんだね」
麻紀はそう言ってけらけらと笑う。
「でも亜澄は元から進学でしょ? 頭いいじゃん」
そして当然の様に言うから、驚いてしまった。
人からはそんな風に見えるのだろうか。
私自身は今まで、大学なんて一度だって考えてみたこともなかった。
そもそも高校進学も考えていなかったくらいだ。
それなのに突然考えろと言われた私は困惑していた。
開けた視野に、一体何を手掛かりにその方向を決めて良いのか、分からない。
まだ、拓真には話せていない。
拓真はどう思うだろう。
中学の時は、拓真は私から求人情報を取り上げた。
それでも、大学だなんて拓真だって想像していないんじゃないだろうか。
進学について真面目に考えることは何となく不安になる。
いいのだろうか、と。
私が就職することもせず、高校を卒業しても尚、子供でいるなんていうことが許されるのだろうか……
私は、麻紀に小さな声でまだ誰にも話していないことをそっと話をしてみる。
先日、担任では無い数学の老教師に突然言われたこと。
『須藤。進学の仕方も一通りでは無いぞ』
数学の課題の解説を仰いだ私に、佐伯はそう言った。
「……大学に行けみたいなこと言われたんだ」
「佐伯ってそんな教師らしいことも言うんだね」
麻紀はそう言ってけらけらと笑う。
「でも亜澄は元から進学でしょ? 頭いいじゃん」
そして当然の様に言うから、驚いてしまった。
人からはそんな風に見えるのだろうか。
私自身は今まで、大学なんて一度だって考えてみたこともなかった。
そもそも高校進学も考えていなかったくらいだ。
それなのに突然考えろと言われた私は困惑していた。
開けた視野に、一体何を手掛かりにその方向を決めて良いのか、分からない。
まだ、拓真には話せていない。
拓真はどう思うだろう。
中学の時は、拓真は私から求人情報を取り上げた。
それでも、大学だなんて拓真だって想像していないんじゃないだろうか。
進学について真面目に考えることは何となく不安になる。
いいのだろうか、と。
私が就職することもせず、高校を卒業しても尚、子供でいるなんていうことが許されるのだろうか……
