「あずみー重いー」
「あ。こら! 女子に重いとか普通言う?」
私がわざと足を地面に引きずらせれば真人が文句を言ってくる。
そうして暮れなずむ町を、私たちは一台の自転車に乗ってじゃれるように冗談を言いながら笑い転げた。
真人が私の自転車を漕いで、私は荷物を抱えて後ろの荷台。
川の水面に黄金色の夕日がきらきらと反射している。
堤防沿いのその道は少しだけ私の家に向かうには遠回りだ。
真人と帰るときはいつもこの道を通っていた。
真人が気持ちよくて好きだと言ったから。
「真人ってさ、成績いいのになんで塾いってるの?」
良家のお坊ちゃんである真人は私と違って部活に励み塾に通いいつも忙しそうだ。
それでも、塾が休みの日はいつも私を家まで送ってくれる。
「成績なら、あずみだって変わらないだろ」
「真人に勝ったことないよ。私」
「そうだっけ?」
万年一位なんだから覚えてないはずはないだろうと思うけれど、真人はなんてことないという表情でうそぶいた。
真人はどうしてこの底辺高校にいるんだろうという成績だ。
高校はこの地域で一番運動部に力を入れていて、一番成績が悪い公立高校だ。
比較的裕福だと思われる医者の息子で頭もいい真人がこの学校にいる理由は陸上以外に無いだろう。
「あずみこそ、部活入らないならなんでうちの学校きたんだよ。成績いいじゃん」
「家から自転車で行けたから」
「はは。そんだけかよ」
真人の笑い声に頷いた私。
前を向いている真人には見えなかっただろうけど。
私はと言えば、真人の様な高い志があるわけではない。
一番近くて学費が安く、高卒の資格がもらえる学校に通いたかっただけだ。
「底辺高校で成績競ってもしょうがないよね」
「そーだなー」
私は元々、高校には行かずに働くつもりだった。
居間で求人情報を眺めていた私は拓真にそれらを取り上げられた。
『薫さんに怒られるから高校は行け』と。
珍しく真面目な顔をした拓真に……
「あ。こら! 女子に重いとか普通言う?」
私がわざと足を地面に引きずらせれば真人が文句を言ってくる。
そうして暮れなずむ町を、私たちは一台の自転車に乗ってじゃれるように冗談を言いながら笑い転げた。
真人が私の自転車を漕いで、私は荷物を抱えて後ろの荷台。
川の水面に黄金色の夕日がきらきらと反射している。
堤防沿いのその道は少しだけ私の家に向かうには遠回りだ。
真人と帰るときはいつもこの道を通っていた。
真人が気持ちよくて好きだと言ったから。
「真人ってさ、成績いいのになんで塾いってるの?」
良家のお坊ちゃんである真人は私と違って部活に励み塾に通いいつも忙しそうだ。
それでも、塾が休みの日はいつも私を家まで送ってくれる。
「成績なら、あずみだって変わらないだろ」
「真人に勝ったことないよ。私」
「そうだっけ?」
万年一位なんだから覚えてないはずはないだろうと思うけれど、真人はなんてことないという表情でうそぶいた。
真人はどうしてこの底辺高校にいるんだろうという成績だ。
高校はこの地域で一番運動部に力を入れていて、一番成績が悪い公立高校だ。
比較的裕福だと思われる医者の息子で頭もいい真人がこの学校にいる理由は陸上以外に無いだろう。
「あずみこそ、部活入らないならなんでうちの学校きたんだよ。成績いいじゃん」
「家から自転車で行けたから」
「はは。そんだけかよ」
真人の笑い声に頷いた私。
前を向いている真人には見えなかっただろうけど。
私はと言えば、真人の様な高い志があるわけではない。
一番近くて学費が安く、高卒の資格がもらえる学校に通いたかっただけだ。
「底辺高校で成績競ってもしょうがないよね」
「そーだなー」
私は元々、高校には行かずに働くつもりだった。
居間で求人情報を眺めていた私は拓真にそれらを取り上げられた。
『薫さんに怒られるから高校は行け』と。
珍しく真面目な顔をした拓真に……
