砂の鎖

学校帰りにデートを楽しむカップルは少なくない。

ほかの子たちは皆、ゲームセンターに寄ったりカラオケに行ったりファーストフード店にいったり、それぞれに楽しんでいる。

真人だって、そういう楽しみ方をする人の筈だ。


それでも、唯一の肉親に先立たれ、保険金と遺産で生きてる私はそんな贅沢はできない。

そもそも、元からシングルマザーの私は、貧乏では無いと思うけれど遊び歩けるほど裕福でも無かった。


「今日の夕飯なに?」

「肉じゃが」

「お。男ウケ抜群の手料理じゃん」

「そうなの?」


そんな私に付き合いスーパーで買い物をする所帯じみたデートを真人はどう思っているんだろう。
今は新鮮でも、すぐに飽きるんだろうなと、私は少し冷めた目で彼の楽しげな横顔を見た。


真人は、どうして私と付き合おうと思ったのだろう。


「なんかこうして一緒に買い物してるとさ、新婚みたいだよね」

「……え」


精肉売り場へ向かって歩いていれば、真人は振り向いて少し悪戯っぽく笑う。

予想外な言葉に私は思わず、顔が熱くなって。


「あずみ。顔赤いよ?」

「……うるさい」


そっぽを向いた私の耳に真人の笑い声が響いた。