砂の鎖

「須藤。よく考えろ。単純に今日の単元を利用すればいいというものでは無いぞ。お前はこの解き方を知っている筈だ」


自分で引いた線の長さを求めなければならないがあまりに複雑な図形に私はどこに着目すればいいか分からない。先ほどまでと同じ状況だ。

それでも私はじっとその図形を見つめて頭を働かせた。

……子供の頃絵本で見た魔法使いや悪魔をを呼び出せる魔法陣ってこんな形じゃなかっただろうか。
そんな非現実的なことしか思いつかない。


「……これだけ綺麗に引けたら、定規で測るのもありに思えてきますね」


バカモンと口癖のように生徒を詰る彼の言葉を想定しながら降参だと肩を竦めて佐伯を見れば、佐伯は眉を僅かに顰めただけだった。


「入試なら、それも一つの方法だな」

「え?」

「マークシートならある程度は分かるからな。だがそれではあまりに美しくない」


意外な答えだった。
測るのもありなのか、と思いながらふと冗談のように定規を当ててみてふと気が付く。


「佐伯先生、これってもしかして、三角形の相似?」


図形の中に似た形が見えてきた。


「あれ? もしかしてこの面積出せば出る?」


けれど自分の口から出てきた道筋はあまりにも初歩的だ。
中学での履修範囲である図形的な考え方

無言で口角を僅かに上げた佐伯にこれは答えに違いないと考えた私は数式をたててみた。

何ともあっさりとその問題の答えは出て、そこから派生する小問がまさに今日の履修範囲の典型的な問題になっていった。