砂の鎖

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放課後の図書室は、テスト期間以外は閑散としている。

週ごとに変わる図書委員の先輩は黒い髪を一つに束ね、視線を手元の本に落としていた。

少し変わり者っぽい男の子がよく小難しい科学雑誌を読んでいるし、スカートが膝丈の真面目そうな女の子は分厚い青のハードカバーのミステリーを読んでいる。
確か昨日は赤い本だったから、もう読み終わったのだろう。
彼女は本を読むのが早い。


挨拶はしないけれど、その空間にいる人たちは殆どが常連で、何となく顔見知りだ。


産まれ持って派手な顔立ちの私は最初、この図書室でも少し不躾な視線を浴びたりもした。
『ここにはお前は似合わない』という視線。

けれど図書室では、その視線はすぐに消えて私はここに馴染めることを入学当初から確信していた。

ここの住人の興味は本の中の遠い世界であって、自分の内面であって、現実に傍にいる他人にはあまり関心は無い。
今はもう、ここの住人の一人として認められているようで、誰も私に目もくれない。

ここは、いつだってとても居心地が良かった。