砂の鎖

「あんたはちゃんと仕事行ってきなさいよね! …………パ、パ……」

「……」


サラリと言うつもりが、思った以上に声が詰まってしまった。
それがすごく恥ずかしくて。

それでも拓真は大学に行きたいと言った時以上に目を丸くして、それから緩々と口角を上げて破顔する。


「じゃあね。いってきます!」


私は慌てて再び背を向けて今度こそリビングから出て玄関に向かう。


「あず! 今なんて……っ! 痛っ……」


拓真の声とガタンと鈍い音が聞こえた。
立ち上がろうとして食卓テーブルの脚に自分の足をぶつけて蹴躓いたといったところだろう。

私はそんな拓真を無視して家を出る。
そうしていつも通り、自転車に跨り朝の空気を割いた。


後悔と、優越と、気分の良さと、後ろめたさを感じながら……