砂の鎖

「一応奨学金とか特待とかも調べてるんだけど……私学だとママの遺産と保険金じゃ不安で……」

「そ、それくらいの甲斐性は俺にだってあるから心配するなよ! 薫さんも喜ぶよ」


拓真に迷惑をかけるつもりは無いと意思表示をすれば拓真は慌てたように口を開いた。
そして、とても嬉しそうに目を細める。


「……それでさ、今度、保護者面談があるんだけど……」

「あずが素直にそういうこというの初めてだね」


そう言ってニコリといつも通り甘ったるく、すごく嬉しそうに微笑むから、少しなんだか気まずくなる。


「……まあ、進路指導だし……」

「日程決まったらちゃんと言えよ? 有給取らないといけないからできれば早めに教えて」

「……うん。ありがと。じゃあ私、もう学校行くね。資源ごみ出しといてね」


照れ隠しにそう言って、私は席を立ち、既に用意していたスクールバッグを肩にかける。


「ああ。いってらっしゃい。車には気をつけろよ。帰りは明るいうちに帰って来いよ。変な男に……」

「もううるさい!」


背を向けた私に、いつも通りの拓真のうっとおしい心配の声を冷たくあしらって。
それでも私はいつも通りそのままリビングを出て行くことはせずに、足を止めて振り向いた。