砂の鎖

「拓真、あのさ……」


私は、拓真の正面に腰かけた。


「うん」


改めて私がそんな事をするのは珍しく、拓真は不思議そうに私を見た。


「ちょっと大金使いたいんだけどいい?」

「何か欲しいものでもあるの? あずももう17歳か……バイクの免許とか? でも俺、女の子がバイク乗るのは反対だな。怪我したら危ないよ。折角あず綺麗な……」

「あんたちょっとは黙って人の話を聞きなさいよ」


また何やら一人で先走り始めた拓真を制止する。
ホント拓真って余計な妄想ばっかり。

溜息を一つついて、それから大きく息を吸った。
溜息を吐くと幸福が逃げるって言うけど、その後息を吸ったからこれは深呼吸だ。

これ以上、幸福を逃したくはない……

私は一つ、咳払いをする。


「……大学行きたいなって、思ってるんだけど……」

「……」


私の言葉に、拓真は驚いた様に目を見開いた
その表情に、何か気恥ずかしくなってしまう。


「できればその……数学の……理学部があって、教員免許とれるところって思ってるんだけど……まだ悩んではいるんだけど……」

「……」


拓真はまだ何の反応もしないから。
私は不安になってきてしまった。

私が大学なんて言い出すのは変だろうか。
おかしいだろうか。

やっぱり、いつまでも学生でいたいなんて……迷惑だと思われるだろうか……