砂の鎖

「うるさい! 何が家族よ! 何が父親よ! あんたにも出てけって言ってるのよ!」

「あず!?」


偽善なんていらない。

同情なんていらない。

自分を犠牲にして守ってくれなんて頼んだ事一度もない。

ふざけないで。

拓真はここを何だと思ってるの?

私を何だと思ってるの?

バカにしないで。


言いたいことは、いくらでもあった。
悔しくて、腹が立って……


「あんたここを誰の家だと思ってるの!?」

「それはあずと俺……」

「ここは須藤薫の家よ!」


叫ぶように言った私の言葉に、狼狽えていた拓真が、黙った。


拓真はママの家の前で、他の女と抱き合っていたんだ。

ママがいない、ママの家の前で……


「出てって!!」


私は拓真と女の横を通り過ぎて玄関に駆け込んだ。
ドアを閉め、逃げる様に急いで鍵をかける。


「須藤主任! だから言ったじゃないですか!」

「佐々木。いい加減にしろ!」


二人の言い争いが聞こえて、聞きたくなんかなくて……
私は耳をふさいでその場にしゃがみこんだ。


同情なんていらない。

バカにしないで。

拓真が誰に何と言われたって知らない。

私のせいにしないで。