砂の鎖

「……ああ。若い時はね、確かに大人の男性って素敵に見えるわよね。分かるわ」

「……出て行けって言ってるでしょ」

「でもね、須藤主任だって未来があるし、それにあなたみたいな子供、須藤主任が好きになるわけ……」


その瞬間、私は思わず拳を振り上げた。
小さな悲鳴を上げ、女はとっさに両手を顔の前に身構えたところは分かった。

けれど私の拳は振り上げたままで、振り下ろすことができない。
強い力に抑えつけられて。


「あず! なんでそんなに手が早いんだよ!」


拓真が私と女の間に入り私を止めた所為だ。
そんな拓真の行動に、ますます私の熱はあがってしまう。


「うるさい! このバカ女を庇うわけ!?」

「そうじゃないだろ! 俺はあずを庇ってるんだ!」

「さっきから出てけって言ってるのが聞こえないの!? 不法侵入で訴えるわよ!」

「あず! ほんと落ち着けって!」


私は拓真の向こう側の女につかみかかろうともがいていて、それでも拓真に力で叶う筈も無くて。

悔しくて、涙が滲みそうになって。

それでもこんな女と拓真の前で泣くのだけは絶対に嫌だ。