砂の鎖

「……でも無理って……それも失礼じゃない?」


だからと言って、それもあんまりじゃないだろうか。
もちろん私と真人はやっぱり正反対だし、住む世界が違うと私自身思っていたし。

“付き合うのは絶対無理だ”と思うことは自然だけど……


「無理だって思ってたんだ」

「だから……」

「亜澄を振り向かせるのは、俺には絶対無理だって……」


真人は、私の瞳を見つめていた。

けれどその瞳は、少し傷ついて見えた。
少しだけ、泣きそうに見えた……

私はその瞳に、返せる気持ちを持ち合わせていなくて……
思わず、視線を逸らしてしまった。


「亜澄に告白をして、振られた時の言い訳にできるって一瞬思ったんだから……卑怯だとは思ってる」


信じられないと思った。

真人とは高校入学から付き合うまで、ろくに会話を交わした事は無かった。
真人の仕草に、私を意識している様なところは見つけられなかった。
少なくとも、付き合うまでは。

それでも、あの日の告白が嘘だと思うのは……確かに難しかった……
耳まで真っ赤にして、不器用な告白をした彼があの時、嘘を吐いていたと思えない……


「俺は、亜澄と違って恥だらけの人間だ……ずっと本当の自分を、隠してばかりいた」


真人が悔しそうに零すのは、私が思う真人とは正反対の言葉たち。

真人は私とは違って綺麗な所にいて、明るいものしか知らず、隠すような事は何一つなく、自然に人から好かれて。

そういう真人とは似つかわしくない。