砂の鎖

「亜澄!」


真人はなるべく深刻にならないようにしようとする私に声を荒げた。


「真人……私……」

「俺は、亜澄が好きだ」


真人は、話を終わらせようとした私を遮って、いきなりそう言った。
その瞳は、驚く程に真剣で……少し切羽詰っている様にも見えて……

あの日の、資料室で顔を真っ赤にして不器用な告白をした、真人を思い出した……


「……あいつらが言ってたのは“100mのタイムが一番悪かった奴はこいつだけは付き合うのは無理だと思う女に告白”っていうゲーム」

「……何、それ」

「確かに全員面白半分だった。くだらない事には変わらないけど……」


そうして真人は少し自嘲する。


「でも亜澄。俺が、うちの学校の部員に負けるゲームだと思う?」


真人を表す簡素な言葉たち。

成績優秀。文武両道。
医者の息子で、人望が厚くて人気者。

そして何より、インターハイ出場選手。
陸上部短距離のエース。

普通に考えれば、真人が校内で短距離走のタイムで負けるなんて、あり得ない。

つまり真人は、自ら告白を実行しようとしたことに、なる……