砂の鎖

『それは……私にも家族がいるからね』

「そういうことです。桑山さんには桑山さんの家族がいます」


そして私にも拓真にも、他に家族と呼べる人はいない……

拓真とママが入籍という形を取らなければ、私と拓真があの家で暮らし続けることはできなかった。
拓真はまだ若いけれど成人した男性で、私は未成年の女子でしかなかった。

二人きりで暮らすことは社会が許さなかっただろう。


それでも、私には拓真が必要だった。

そして愛する人を失う拓真にも、多分、私が必要だったんだ……


私は、桑山さんが……実の父親が現れたら拓真から離れなければいけないのだと、どこかで気が付き不安に思い、桑山さんを避けていた。

同じ様に拓真も、実の父親を私が恋しがったら手放さなければいけないと思っていたのかもしれない。
不安に、思っていたのかもしれない……

だからきっと、昨夜拓真は泣いたんだ……


「桑山さん。よく考えました。私は間違えているのかもしれません。私は自分が想っていたよりもずっと子供でした。……今私に必要なものは、条件でも、お金でもなくて……」

『あの男なのか?』


少し、棘がある様にも聞こえる桑山さんの声に私は一瞬息を飲んだ。
その瞬間、目の前の真人と目があった。

だから私は、慌ててまた冷静さを取り戻し微笑んだ。


「……私には、母の思い出を一緒に話せる家族が必要なんだと思います……」


今もママを愛している拓真にも、私が必要なんだと思う。
そう、信じさせてほしい……