「亜澄。昨日の男って……」
真人が小さく口を開いたのは、学校から少し離れて周りの目が少なくなってからだった。
そして話題は、私たちの間のことでは無く桑山さんのこと。
私がその声に真人を見れば、真人は心配そうな表情を浮かべていた。
その表情は話題を逸らしたいわけでは無く本当に心配してくれている様に見えた。
「真人、ちょっと待ってもらっていい? 昨日の人に電話したいから……」
もう五時過ぎだ。
平日だけど、そろそろ電話をしてもいいだろうか。
私には代議士の一日のスケジュールは想像もできない。
それでも拓真の前では桑山さんに電話はできないし、真人の前なら冷静に話せる気がする。
それに、真人の疑問や心配が本音なら、その答えにもなる。
「分かった」
私は立ち止まりスマホをカバンから取り出しそうとして、真人は私が片手で支えていた自転車を、無言で支えてくれて。
ありがとうと言ってから、私は一つ息を吸った。
少し、緊張した。
真人には私の気持ちが伝わっているのだろうか。
話し合わなければいけない事がある筈なのに、真人を無視するかのように他の人に電話をかける私を何も言わずに見守ってくれていた。
すぐに電話の向こうから呼び出し音が響いた。
その音に耳を澄ましながら、私はやっぱり、真人の様な人になりたかったと思った。
私には真人は眩しくて、真っ直ぐで、憧れだった。
すべてには無理でも、すべての答えは出せなくても、少しでも彼の様にまっすぐに向き合える人になれるだろうか……
真人が小さく口を開いたのは、学校から少し離れて周りの目が少なくなってからだった。
そして話題は、私たちの間のことでは無く桑山さんのこと。
私がその声に真人を見れば、真人は心配そうな表情を浮かべていた。
その表情は話題を逸らしたいわけでは無く本当に心配してくれている様に見えた。
「真人、ちょっと待ってもらっていい? 昨日の人に電話したいから……」
もう五時過ぎだ。
平日だけど、そろそろ電話をしてもいいだろうか。
私には代議士の一日のスケジュールは想像もできない。
それでも拓真の前では桑山さんに電話はできないし、真人の前なら冷静に話せる気がする。
それに、真人の疑問や心配が本音なら、その答えにもなる。
「分かった」
私は立ち止まりスマホをカバンから取り出しそうとして、真人は私が片手で支えていた自転車を、無言で支えてくれて。
ありがとうと言ってから、私は一つ息を吸った。
少し、緊張した。
真人には私の気持ちが伝わっているのだろうか。
話し合わなければいけない事がある筈なのに、真人を無視するかのように他の人に電話をかける私を何も言わずに見守ってくれていた。
すぐに電話の向こうから呼び出し音が響いた。
その音に耳を澄ましながら、私はやっぱり、真人の様な人になりたかったと思った。
私には真人は眩しくて、真っ直ぐで、憧れだった。
すべてには無理でも、すべての答えは出せなくても、少しでも彼の様にまっすぐに向き合える人になれるだろうか……
