「……そうじゃなくて……」
教室にいるのも気まずくて麻紀を誘い出した中庭で手元の弁当をつつきながら、独り言のように溜息交じりに零した。
今日の弁当は拓真が作った様な色とりどりに乙女心溢れた可愛いキャラ弁なんかではなく、私が作った茶色が多めのそっけないものだ。
いつもなら麻紀がからかうようなことを言えば不遜なセリフで言い返す筈の私の気落ちした態度に麻紀はすぐに察してくれたようだ。
からかうことを辞め、不思議そうに私の顔を覗きこんでくる。
「あれから、真人と殆ど話してないの。私は別れたというか……付き合い続けるなんてありえないと思ってるんだけど……」
「え。そうなの? だって朝っぱらからあんたたち公衆の面前で濃厚なディープキスしてたって今日一番の話題だよ」
目を丸くした麻紀に、私は今度は盛大に溜息を吐いた。
「……真人が私の耳元で話したのをキスしたように見えてただけだよ……」
少しだけ、何となく嘘を吐いた。
こめかみに、真人の唇が触れたのは本当だ。
あれを“キス”というのも多分本当。
でもあれは、恋人同士の愛情があふれ出た濃厚なキスなんかでは当然無く、多分真人のカモフラージュだ。
真人は誰にも聞かれずにあの言葉を私に言いたかっただけだと思う。
そして今日の真人の態度からして、私と気まずい事を周囲に知られたくないようだ。
麻紀は盛大に笑って、やっぱり噂の方が面白いと言った。
教室にいるのも気まずくて麻紀を誘い出した中庭で手元の弁当をつつきながら、独り言のように溜息交じりに零した。
今日の弁当は拓真が作った様な色とりどりに乙女心溢れた可愛いキャラ弁なんかではなく、私が作った茶色が多めのそっけないものだ。
いつもなら麻紀がからかうようなことを言えば不遜なセリフで言い返す筈の私の気落ちした態度に麻紀はすぐに察してくれたようだ。
からかうことを辞め、不思議そうに私の顔を覗きこんでくる。
「あれから、真人と殆ど話してないの。私は別れたというか……付き合い続けるなんてありえないと思ってるんだけど……」
「え。そうなの? だって朝っぱらからあんたたち公衆の面前で濃厚なディープキスしてたって今日一番の話題だよ」
目を丸くした麻紀に、私は今度は盛大に溜息を吐いた。
「……真人が私の耳元で話したのをキスしたように見えてただけだよ……」
少しだけ、何となく嘘を吐いた。
こめかみに、真人の唇が触れたのは本当だ。
あれを“キス”というのも多分本当。
でもあれは、恋人同士の愛情があふれ出た濃厚なキスなんかでは当然無く、多分真人のカモフラージュだ。
真人は誰にも聞かれずにあの言葉を私に言いたかっただけだと思う。
そして今日の真人の態度からして、私と気まずい事を周囲に知られたくないようだ。
麻紀は盛大に笑って、やっぱり噂の方が面白いと言った。
