砂の鎖

昼休み、私は麻紀に彼氏との約束を断らせた。

教室では話にくくて、私は麻紀を人の少ない中庭に連れ出した。


麻紀は楽し気にからかいながらも真人と私がよりを戻したことを喜んでいる様で。
麻紀は私たちが話し合いの末、付き合い続けるという結論を出したと思っているだろう事は簡単に分かった。



その日、真人の態度は本当にいつもと変わらなかった。


『これ、塾で習った先の単元で解く方法だから……多分佐伯が嫌な顔すると思ってたんだよ。そんな解法があるとはな』


数学の前に私の席に来た真人に私は少し身構えた。

話がしたいと言った真人に何かを訴えられると思ったから。


それでも彼はノートを見せてほしいと言ってきただけで、真人は単純に、私の解法を見て驚いた様に納得をした。
真人は違う解法で答えを導き出していて、私はそれにまた驚いて、真人の解法をじっくりと聞き入ってしまった。





『今日亜澄、浅野さんと話がしたいみたいだから』


昼休みが始まればすぐに、真人は笑いながら周りに聞えるようにそう言って、男子達と早々に昼食を済ませるとサッカーをしにグラウンドへと走って行った。

運動神経抜群の真人が身体を動かすのが好きな人だということは学校中の認識だ。
私と付き合い始める前も、付き合ってからも時々、真人はグラウンドで昼休みを過ごすことが多かったのだからそれに不信の目を向ける人はいなかった。

だから私と真人が一緒にいないことを誰も疑問に思う事も無く、私も私で、余りに日常的な会話を振られれば普通に答えてしまい……

真人を昨日の様に突っぱねるタイミングを失ったままずるずると半日を過ごしてしまった。