砂の鎖

「あず?」


思い切り怒鳴り声をあげれば拓真は不思議そうな顔に変わった。
肩を握る拓真の腕を振り払うと私は一つ溜息を吐く。


「……真人とは、別れるつもりだし」


そう言えば、拓真は豆鉄砲を食らった鳩みたいな顔をして。
それからホッと安堵の顔を覗かせた。


「そうなの?」

「あからさまに嬉しそうな顔してんじゃないわよ」


ったく。
可愛い娘が彼氏と別れるなんて事があったら一緒に悲しむのが正しい親のあり方じゃないの?
拓真はかなりずれてる。
正しい“男親”のあり方なんて、私だって知らないけど。


「じゃあまたうちまで来たら追い返すからな?」


少しウキウキとした表情を隠しきれない拓真に私はもう一度溜息を吐いた。


「もう来ないと思うよ」


私の言葉に手のひら返しに機嫌よく、ご飯にしようと拓真は私をリビングへと促した。

拓真は桑山さんがどうとか、謹慎明けがどうとかでは無く、今朝の真人の言動が気になって早く帰ってきたみたいだ。
……本当に面倒な男だ。