砂の鎖

そんなことを考えながら私は大学一覧と書いてある分厚い本を適当に開いてみた。
それから、各学校の制度や授業料、入学金について等にまず目を通していく。


「佐伯先生。謹慎受けると、特待や奨学金はとれないですよね」


一校一校調べるより聞いた方が早そうだと思い直し、早々に分厚い本から顔を上げて佐伯に聞いてみた。

先日の進路希望調査は就職で提出をした。

けれど大学について考えてみろと言う佐伯に影響されて、私は少し真面目に考えてみることにした。
まだ明確に就職を辞めようと決めた訳でも、ものすごく行きたい大学があるわけでも、やりたいことがあるわけでも無い。

大学なんかに行ってもいいのだろうかという自分の中での葛藤もある。

ただ、大学なんて考えてもいなかった私にはそもそもよく分からない。
それなら少し、調べてみてもいいかもしれないと思った。


例えば授業料がどれくらいかかるのかとか、本当に特待や奨学金といった制度が使えるのかとか。
どこから手を出せば分からない問題を目の前にして、とりあえず分かりやすい条件から手をつけていってみようと考えたわけだ。
限りある遺産で生活している私にとって進学するかどうかを考える前に、進学が可能なのかどうかは重要な問題だ。


佐伯は私が見ているページを覗きこんだ。

どの程度の学力で行けるのかもよく分からないが、とりあえず開いてみたのは地元の国立大学のページだ。

それを見て、佐伯は少し難しい顔をした。これは、私には難しすぎるレベルだということなのだろうか。

答えを推察しようとしていれば、佐伯はすぐに顔を上げた。
そうして見せた表情はあの、歪に口元を歪ませるあの表情。


「停学とは違って謹慎は内申書に記入されないから安心しろ」

「……そうなんですか?」

「その為の謹慎だ」


堅い生真面目な教師だと思っていた佐伯の印象はここ数日で随分変わった。
私は素直にありがとうございますと言って笑って見せた。