砂の鎖

「真人、いいよ」

「よくねーよ」


真人は私を一瞥しただけで、当事者の私よりもずっと腹を立てているらしい。
どうして真人が、と思ったものの、私は仕方なく、気取られないように小さく息を漏らしてから彼女たちに近付いた。


「横井さん」

「……何よ」


私を睨み付ける横井の瞳は先日の様な厭らしさは影を潜めていた。

彼女にとって真人ににらまれるなんて、想定外だったのだろう。


「手を上げたことは、ごめんなさい」

「……」


そんな彼女に正面から私は一言だけ言って頭を下げた。
その私の行動に、横井は目を丸くして言葉を失い、罰が悪そうに視線を逸らした。

もう行こう、と麻紀の方をふりむけば、麻紀と真人も横井と同じように目を丸くしていて私は少し苦笑してしまった。


「麻紀、行こう」


私は構わず歩き出し、彼女たちの横を通り過ぎた。