砂の鎖

「これあずの分」

「いいじゃないどっちでも」

「いやだよ! 俺はあずが作った弁当がいい!」

「はあ? あんたなに言ってんの」


なんだか拓真が面倒な事を言い出した。
どっちだって一緒でしょ!?


「あずの手作り弁当会社で自慢するんだよ!」


こういうところが嫌なのよ! このバカ!!


「自分で作ったの持ってけばいいでしょ!」

「絶対いや」

「……」


拒否した私をじっとうろんな瞳で見つめる拓真。


「……何よ」


そんな捨て犬みたいな目で見ないでよ。
こっちが悪い事してる気分になるじゃない……


「……あずが作った弁当がいい」

「絶対いや」

「……」


あたしは負けじと拓真を睨み返し、拓真の口調をまねて返事をした。
子供みたいに口をとがらせる拓真。


「じゃあ、あずがパパって呼んでくれたら今日は諦める」

「……はあ?」

「……」


……そしてなんだか、変な条件を付け始めた。

なんなのよ!! この人ホントに大人なの!?
勝手に人の分作って黙ってあたしに弁当作らせて交換しろなんて、ずるいじゃない!

けれど、拓真が折れる様子も無く。


「……分かった! 交換すればいいんでしょ!」


私はどちらの条件がより良いか考えて、仕方なく弁当を交換する方を選んだ。
ホント子供みたい!


「じゃあ、いってきます!!」


拓真の手からあたしの弁当箱を乱暴に奪い取って背を向けた。


「いってらっしゃい。忘れ物はない? 車には気を付けてね。暗くなる前に家に帰ってきなよ」


子供じゃないし!
満足気に言う拓真にろくに返事もせずに私は家を出た。