「どうして……」


 最初清廉だと思った。


 だけど近づいてみると、それは清廉ではなかった。


 派手な装束で、背も清廉より高めで……。


 「清明……?」


 お堂の中は、荒れていた。


 刀で斬り合った形跡がある。


 打ち捨てられた刀。


 無残に切り傷の残された神の銅像。


 おそらくここに清明が乱入して、まずじいを背後から斬りつけ。


 それから清廉と斬り合いになった挙句に、返り討ちとなったのだろう。


 ただ清廉がいない。


 いったいどこへ?


 まさか後追い自殺、いやそれより彼はきっと……。


 「七重さんを斬る……」


 私はお堂を飛び出して、当主の館へと急いだ。