そっとのばされた手が、私の頬を流れる涙を拭っていく。 暖かい、その手。 「俺は、ここにいるよ」 そう言った彼が、頬に添えていた手を後頭部に回し自分の方へ抱き寄せた。 弱々しい力で抱きしめられた私に伝わる温もり。 私は、その温もりに子どものように泣きじゃくった。 私を抱き締めてくれる彼は、誰だろう。 わからない。 とても、安心するんだ。 「健太・・・」 また健太が、戻ってきてくれたんじゃないかって思ったんだ・・・。