「まだ、時間あるから一度家に戻って出直してくる」 怒りもせずそう言うと、健太は来た道を戻った。 私が、健太の手を取っていれば。 健太は、あの道を通ることはなかったのに。 その道の途中、見通しの悪い道で一時停止を怠ったトラックが健太に突っ込んだ。 即死だった。 当たり前にずっと一緒にいるんだと思ってた。 喧嘩だっていつもしていたし。 当たり前に、仲直りをして二人で卒業式に出られるって思ってた。 私の世界から、色が消えた。